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伊藤稔の零釣法スペシャル
伊藤 稔(いとう みのる)顔写真

1949年生まれ。岩手県在住。
ヤマメの適水勢理論、ナチュラルドリフト釣法、零釣法など、常に新釣法を模索する実践派。著書、ビデオなど多数出版している超名人。


ようこそ零釣法の世界へ
零釣法のコンセプト
零釣法とは仕掛けを限りなくゼロに近くという意味です。あたりまえの話ですがエサに何も付いていなければ渓流魚は何の躊躇いもなくエサを食べてくれるでしょう。しかし、それでは釣りになりません。そこで今ある道具の中で使いうる最小のものを使う。可能な限り仕掛けをゼロに近くするというのが零釣法のコンセプトです。
しかしながら、零釣法はただ釣れば良いというだけの釣りではありません。やってみると分かりますが、細仕掛けに極軟調子の「琥珀・零」という竿の組み合わせは、今までにないスリリングでエキサイティングな世界を創造します。たかだか20pやそこらの魚でも竿はグワンと曲がり、魚は猛烈にファイトします。間違いなく貴方のハートはドッキンドッキンです。
 そう、零釣法は誰にでも簡単に魚がヒットするのはもとより、それ以上に魚一尾一尾との出会いがより新鮮で濃密なゲームになるのです。そして、そこにこそ、この釣りの最大の魅力があるのです。



マスターしたい5つのハードル 枝
 さて、いよいよ実戦です。零釣法は誰にでも簡単に魚がヒットします。おそらく、今まで渓流釣りをやってきた方は、そのアタリの多さとヒット率の高さに驚かれると思います。反面、この釣りならではの難しさもあります。特に合わせから取り込みにかけては、零釣法ならではのテクニックがあり、それをマスターしなければ零釣法の本当の面白さは味わえません。
 そこで、振り込み、流し、合わせ、イナシ、フィニッシュの順に零釣法ならではのテクニックを具体的に説明してみましょう。


枝 ハードル1・振り込み


振り込み


 零釣法を始めて最初に戸惑うのは、振り込みがちょっとやり辛いということかもしれません。普通の渓流竿より軟らかく仕上がっている『琥珀・零』は竿を強く振るほど竿が曲がるだけで仕掛けは飛ばないという難しさかあります。
では、どう振るかですが、初めは3号程度のオモリを付けてオーバースローでゆっくり振ってみて下さい。その際、後ろに回した仕掛けを見ながら道糸が張った時に竿を軽く前に押し出すようにします。それだけで柔軟な『琥珀・零』はスナップが効いて仕掛けを遠くまで飛ばしてくれるはずです。つまり、『琥珀・零』の振り込みは力で飛ばすのではなく、仕掛けの重量を竿に乗せ竿の曲がりの反発力を上手く利用するのがコツなのです。
と言っても、そう簡単に最初からポンポンとはいかないかもしれません。ある程度、練習を繰り返し竿の特性に慣れることも必要です。
 それができたら、次は地面に洗面器を置き、それにオモリを当てる練習もしてみましょう。実は多くの釣りで腕の良し悪しを決定するのは、まず、このキャスティングの正確さなのです。狙ったスポットに苦もなく仕掛けを入れる。これが、あらゆるテクニックの基調となるのは言うまでもありません。この練習をやっただけで、見違えるように腕が上がるはずですから、面倒がらずに練習してみましょう。


ハードル1・振り込み
ハードル2・流し
ハードル3・合わせ
ハードル4・イナシ
ハードル5・フィニッシュ


枝 ハードル2・流し
小見出し




 今まで渓流釣りをやってきた人にとって零釣法の流しは、より簡単になったと感じるかもしれません。糸が細いのでエサが底波に簡単に入ってしまう。そして、綺麗なナチュラルドリフトも自ずとできてしまう。細仕掛けというのはそれだけの威力があるのです。流し
しかし、渓流釣りに入門したての人が直ぐできるかと言うと、若干難しい面々もありますのでエサを流す基本をいくつか説明してみましょう。
まず一つは、目印が常に水面に垂直に立つように竿操作するということです。図のように目印が立つように流すとエサは自動的に流れなりに流れるようになります。この流れなりに流すことをナチュラルドリフトと言い渓流釣りの大基本になります。
流しの基本1

 二つ目は、タナを正確に取るということです。そのために目印の高さをポイントに合わせてコマメに調節しましょう。時期にもよりますが、水中を流下するエサを狙っている魚は流れの下層に定位しています。したがって、目印からオモリまでの間は、道糸が弛む分も計算に入れて水深よりちょっと長め(約1.2倍程度)に調節しておくといいでしょう。
エサがちゃんと下層の波に入ったかどうか…?その判断は目印の流れ方で分かります。エサが底の波に入った時は目印が表層の波より遅くジワーっとスローで流れます。これは川の流れは上層が速く、下層の流れは川底の凹凸のせいでゆっくり流れているからです。つまり、下層の緩い流れにエサが入れば目印も下層の流れの速さになるというわけです。こうした状態をエサが流れにナジむと言います。逆に、エサが下層の流れに入らなければ、目印は上層の波に乗って軽々しく流れ、エサがナジまないということになります。この流れ方の違いで、エサが底に入ったかどうか見極めていくようにします。
流しの基本2

 三つ目は、目印がダンスしないようにピタリと止めて流すということです。目印がダンスすれば、当然、仕掛けもダンスします。これがどういうことかというと、仕掛けが底波にナジみにくい。アタリが取り辛い。魚もエサを食い辛いということで、釣りそのものが不可能になるということになります。
流しの基本3
 この目印のブレを止めるコツは、1にも2にも釣りの基本フォームを身につけることです。イラストを参考に正しいフォームの点検と練習をしてみましょう。
流しの基本 フォーム


ハードル1・振り込み
ハードル2・流し
ハードル3・合わせ
ハードル4・イナシ
ハードル5・フィニッシュ



ハードル2・流し
小見出し




 今まで渓流釣りをやってきた人にとって零釣法の流しは、より簡単になったと感じるかもしれません。糸が細いのでエサが底波に簡単に入ってしまう。そして、綺麗なナチュラルドリフトも自ずとできてしまう。細仕掛けというのはそれだけの威力があるのです。流し
しかし、渓流釣りに入門したての人が直ぐできるかと言うと、若干難しい面々もありますのでエサを流す基本をいくつか説明してみましょう。
まず一つは、目印が常に水面に垂直に立つように竿操作するということです。図のように目印が立つように流すとエサは自動的に流れなりに流れるようになります。この流れなりに流すことをナチュラルドリフトと言い渓流釣りの大基本になります。
流しの基本1

 二つ目は、タナを正確に取るということです。そのために目印の高さをポイントに合わせてコマメに調節しましょう。時期にもよりますが、水中を流下するエサを狙っている魚は流れの下層に定位しています。したがって、目印からオモリまでの間は、道糸が弛む分も計算に入れて水深よりちょっと長め(約1.2倍程度)に調節しておくといいでしょう。
エサがちゃんと下層の波に入ったかどうか…?その判断は目印の流れ方で分かります。エサが底の波に入った時は目印が表層の波より遅くジワーっとスローで流れます。これは川の流れは上層が速く、下層の流れは川底の凹凸のせいでゆっくり流れているからです。つまり、下層の緩い流れにエサが入れば目印も下層の流れの速さになるというわけです。こうした状態をエサが流れにナジむと言います。逆に、エサが下層の流れに入らなければ、目印は上層の波に乗って軽々しく流れ、エサがナジまないということになります。この流れ方の違いで、エサが底に入ったかどうか見極めていくようにします。
流しの基本2

 三つ目は、目印がダンスしないようにピタリと止めて流すということです。目印がダンスすれば、当然、仕掛けもダンスします。これがどういうことかというと、仕掛けが底波にナジみにくい。アタリが取り辛い。魚もエサを食い辛いということで、釣りそのものが不可能になるということになります。
流しの基本3
 この目印のブレを止めるコツは、1にも2にも釣りの基本フォームを身につけることです。イラストを参考に正しいフォームの点検と練習をしてみましょう。
流しの基本 フォーム

枝 ハードル3・合わせ
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 多分、零釣法、最大の壁は合わせではないかと思います。今までの渓流釣り感覚でバチンと強い合わせをしてしまうと0.1号などの細糸は何の手応えもなく飛んでしまいます。
 そこで、どう合わせるかですが、零釣法では早合わせにあまり拘る必要はありません。やってみると分かりますが、この釣りではアタリが出て合わせないでおいても目印はしばらくモゾモゾやっていることが多いのです。だから、合わせも慌てず騒がずゆっくりソフトに合わせるようにします。
 アタリをしっかり見極め「よしよし、アタッているぞ〃」てな感じで合わせれば誰にでもソフトな合わせができると思います。


ここで慌てて合わせる必要はない   アタリをしっかり見極めてソフトに合わせよう
合わせ



枝 ハードル4・イナシ
小見出し


 最近の渓流釣りの取り込みは、ほとんどが抜きで合わせと同時に魚を抜いてタモ網で受けるようになりました。しかし、細仕掛けの零釣法では強引にバンバン抜くわけには行きません。魚の大きさにもよりますが、ある程度イナシ、タメて魚の弱りを待ってから抜くなり掬い込むなりしなければなりません。
 と言うよりも、零釣法の真骨頂はこのイナシにこそあるのです。0.1〜0.125号の極細糸であの荒々しい渓魚の引きと一騎打ちをする。それはスリリングでヤバイやり取りになりますが、それをどうイナスかが零釣法の楽しみなのです。


頭を振って抵抗するときは穂先の曲がりをちょっと戻してやる イナシ テンションが強いと頭を振って抵抗する

  テンションを少し緩めてやると泳ぎだす  

このイナシ方を述べてみましょう。
まず、20p以下の魚が掛かった場合は、合わせた後に竿を強引に起こさず竿を曲げたまま魚の引きを竿に任すようにします。すると『琥珀・零』は魚が引けば曲がり、引くのを止めれば戻すというように勝手に魚をイナシ浮かしてくれるはずです。そして、魚が水面に横たえ抵抗を止めたら、そっとブラ下げるようにブランコ抜きにします。
ここで注意することは、魚が暴れている間は絶対に抜いてはダメということです。魚が暴れている間に抜こうとするとバレが多くなります。
掛かった魚が20pオーバーの良型だったら、また違う竿操作をしなければなりません。まず、ヒットした瞬間にこれは良型と思ったら、竿を上流側にベタ竿に倒して魚の奔走をくい止めます。ここで竿を立てたままにしておくと一気に下流に走られてプッツンということも……。
 竿をベタ竿にしてタメているとヤマメの場合は大抵ガクガクと頭を振り体を回転させて抵抗するはずです。これもヤバイ状態でバレが起きやすいものです。この抵抗をくい止めるには、竿のテンションをカゲンしてやるという竿操作が必要になります。
これを具体的に言うと、ヤマメは竿で引くテンションが強いと頭を振って抵抗しますが、このテンションが弱いと抵抗を止めてゆっくり水中を泳ぎだします。だから、ガクガクと頭を振ったらベタ竿のまま竿の曲がりをちょっと戻してやる。頭を振らない程度にテンションのカゲンをしてやるわけです。
 そして、できるだけヤマメを泳がして体力を消耗させるようにし、魚が弱ったら竿を立て自分の方に寄せてくるようにします。
しかしながら、大物になればなるほどこれが一筋縄では行きません。弱ったと思っても竿を立て寄せに入ると、またガクガクと頭を振る。走る、という抵抗が延々と続きます。そのつど、ベタ竿でのテンションの加減と、立て竿での寄せを何度も繰り返し、長い持久戦を凌がなければなりません。
 いずれにしても、焦りは禁物。魚とのやり取りを気長に楽しんでやろう、というぐらいの気持ちでやった方が上手くいきます。


枝 ハードル5・フィニッシュ
小見出し


 最後の掬い込みのことです。零釣法に限ったことではありませんが、掬い込もうとした最後の土壇場にプッン、ガックリ、ということはよくある話です。
そこで、上手く掬い込むコツを述べてみましょう。
イナシて魚が水面に浮いたら、自分の方に魚を寄せてくるわけですが、その時に気を付けてもらいたいのは、フィニッシュ腕は動かしても体は動かすなということです。魚が寄ってくるとついつい自分から掬いに行きたくなるのが人情ですが、魚は人の気配を感じると驚いて頭を振ったりビュッと走ったりします。そして、プッツンというのが失敗の大半です。
だから、魚を浮かし寄せの態勢に入ったら魚に人の気配を感じさせないこと。そのためには、魚が目前にくるまで一歩も動かずジッと待つ。そして、掬える距離にきたら、手だけ動かして一気に掬い込む。このようにすると失敗はまずありません。
 しかし、良型になるほど近くに寄ってきてもまた沖に走りますから、魚が本当にヘバルまでジックリやり取りすることも肝心。目前まできても抵抗しなくなった時がタモ網を出すタイミングです。
 さて、色々述べてきましたが、零釣法は何度も言うように魚を取るのではなく、取れるか、取れないか、その瀬戸際の攻防を楽しむ釣ですから失敗は付きもの。フィニッシュ失敗を恐れずどんどんチャレンジしてみましょう。たった1尾でも良型を取り込めた時の感激は今までの渓流釣りとは比べものになりませんよ〃。
最後に零釣法はよく釣れます。釣れ過ぎます。だから釣った魚を持って帰るとアッという間に魚は根絶やしになってしまいます。末永くこの釣りを楽しむためにリリースを基本にしてもらえば幸いです。


枝 ほそーいタックル編
小見出し


零釣法のタックル

零釣法のタックル

 零釣法のタックルは図のようになります。通常の渓流釣りの仕掛けと比べると2ランクも3ランクも細仕掛けです。何故、ここまで小まくするのか?その理由から説明してみましょう。
まず、水中糸ですが、ヤマメをターゲットに考えるとヤマメはとても目の良い魚で糸を見破ります。たとえば、水中テレビカメラなどを使ってヤマメを観察すると0.2号のナイロン仕掛けでは、エサの前でUターンしたりして釣り人のエサをなかなか食ってくれないヤツが多いことが分かります。それが0.15号、0.1号と糸を細くするにしたがって食うヤツが増えてくる。食う確立が高くなるのです。
また、糸は細いほど水切れ抵抗が少なくなるので軽いオモリでも簡単にヤマメが定位する下層の波にエサを送りやすくなるのは言うまでもありません。そして、この水切れ抵抗が少ないと言うことは、それだけ、エサも引っ張られないということで、違和感なくヤマメにエサを食わすことができることにもなります。たとえば、0.2号なら水切れ抵抗のテンションでエサをパッと放すヤツも出てきますが、0.1号ならしばらくの間モグモグしているということも珍しくありません。
また、ハリも小さいほど食い込みが良くなります。大きいハリはどうしても異物感を感じるためか早くエサを放しますが、小さいハリほどエサを放す時間が遅くなるのです。
 そんなわけで、仕掛けが小まいほど魚がヒットしやすくなるという理屈が成り立つのです。
さらに、零釣法では天上糸も細糸を使用します。天上糸なのだから太くてもかまわないんじゃないかと考えられがちですが、そうではありません。天上糸は細いほど風の影響が少なく、その分エサも流しやすくなります。
 しかし、それ以上に影響するのが感度です。ナイロン糸は太くなるほど、糸癖が取れにくく、その糸癖に感度が吸収されやすいのです。逆に言えば、細い天上糸ほど竿に伝わる感度も良くなるというわけです。もっとも、零釣法では水中糸が太くても0.15号ですから天上糸は0.2号以上は必要ないでしょう。


ほそーいタックル編
『琥珀・零』は必須アイテム
エサは川虫を使う


枝 『琥珀・零』は必須アイテム
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 このように零釣法では限界に近いほど細仕掛けを使うわけですが、細仕掛けには当然リスクもあります。それは糸切れが起きやすい、魚がバレやすいということです。
そこで考えられたのが、この仕掛けにマッチした竿を使うということです。細仕掛けを事故なく使うには柔軟で曲がりの限界の高い竿が必要になってくるのです。たとえば、車で言えばショックアブソーバと同じ理屈です。これがソフトなほど乗り心地が良くなります。それと同じで、柔軟で曲がりの限界が高い竿ほど魚の引きを吸収し、仕掛けに掛かる負担を少なくしてくれるというわけです。


SZ琥珀本流零MK
SZ琥珀本流零MK


 『琥珀・零』という竿は、如何に細仕掛けで魚をバラさずに捕るか……?そのために度重なるテストを繰り返しソフトなショックアブソーバの様に作られました。だから『琥珀・零』で釣ると嘘のように糸が飛びません。魚に引かれれば引かれた分だけ竿が曲がっていく、ゴム紐のように粘り魚を勝手にイナシてくれます。要するに、零釣法は『琥珀・零』という竿があって初めて成り立つというわけです。


枝 エサは川虫を使う
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 天然の渓流魚は川虫が主食です。総てを可能な限り自然に近くするという零釣法では、だから、川虫がメインエサとなります。
川虫にも色々種類がありますが、私が好んで使うのはヒラタ、キンパク、ピンチョロ等で大抵の川で安定して釣れるようです。
エサの簡単な保存法は、クールベイトの中に乾いたテッシュペーパーを1枚1枚軽く重ねて、その間に川虫をソッと挟んでおくようにします。また、遠征などで長時間エサを保たせたい時は、氷の入ったクーラーにクールベイトごと入れておけば安心です。


エサ
ヒラタ キンパク ピンチョロ
ハリの刺し方

心臓等の急所に刺さないように体の途中まで刺して脇から抜く


アドバイス
川虫は活きが良いほど魚の食いも良いので、ちょっとでも痛んだと思ったら迷わず新しいモノに取りかえよう。そのためにも、エサは多めに採取し惜しみなく使うことだ。


ほそーいタックル編
『琥珀・零』は必須アイテム
エサは川虫を使う